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医師の医療訴訟リスクとは?

開業医にとって、医療訴訟は決して他人事ではありません。いつ自身が当事者となってもおかしくない身近なリスクといえます。

本記事では、医療訴訟リスクの実態をはじめ、医師が取るべき初動対応や注意点、予防策について解説します。

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医師が医療訴訟に巻き込まれるリスクと問われる責任

診療科別の訴訟リスク

裁判所の統計によると、医療訴訟件数が最も多い診療科は内科で、次いで外科、歯科、整形外科、産婦人科、形成外科が上位を占めています。内科は診療件数そのものの圧倒的な多さが背景にありますが、医師数あたりで見ると、侵襲的治療が多い外科系や、分娩事故など重大な結果につながりやすい産婦人科の訴訟リスクが高くなる傾向があります。

また、形成外科は患者の高い期待と治療結果のギャップから訴訟に発展しやすいとされています。もっとも、どの診療科においても、カルテの記載不備や患者への説明不足などが原因となって訴訟につながるリスクがあるため、十分な注意が必要です。

医師が問われる「3つの責任」

医療訴訟で医師が問われる責任には、「民事責任」「刑事責任」「行政責任」の3つがあります。

医療訴訟の大半を占めるのは民事責任です。民事責任では患者から損害賠償を請求され、敗訴した場合は数千万から数億円規模の賠償責任を負う可能性があります。

刑事責任が問われるのは、業務上過失致死傷罪などにより刑事告訴される場合です。近年は医療行為への刑事介入は慎重な姿勢が取られているものの、重大または明らかな過失が認められた場合は、起訴される可能性があります。有罪判決となれば、罰金や禁固刑などが科されます。

行政責任は、医療過誤や医師法違反などが認められた場合に、厚生労働省の医道審議会によって医師免許の取消や医業停止などの行政処分を受けるものです。民事責任において勝訴した場合でも、刑事責任や行政責任を問われる可能性があります。

万が一訴えられた場合の医師が取るべき初動対応とNG行動

訴状が届いた時の「鉄則」対応

訴状や証拠保全の通知が届いた際は、加入している医師賠償責任保険会社へ速やかに連絡しましょう。保険会社によっては通知期限が設けられており、連絡が遅れると補償の対象外となる可能性もあるため、迅速な対応が重要です。医師賠償責任保険会社は医療訴訟対応のノウハウを有しており、初動対応に関する助言や弁護士の紹介などのサポートを受けられます。

次に、カルテや検査結果をはじめとする関連資料・医療記録を漏れなく保全します。訴訟関連書類については必ずコピーを作成し、原本とは分けて保管することが重要です。

絶対にやってはいけないNG行動

患者から訴訟提起を受けた場合に避けるべき行動として、「カルテの改ざん」「証拠隠滅」「患者や家族への安易な謝罪・示談の約束」「SNSへの投稿」の4つがあげられます。

カルテ改ざんやメモの破棄、スタッフへの口裏合わせなどの証拠隠滅行為は裁判で不利になるだけでなく、医療ミスよりも重い法的責任を問われる可能性があります。また、安易な謝罪や示談の約束は裁判で不利になったり補償に影響したりする場合もあるため、患者側とのやり取りや法的な判断については、保険会社や弁護士に相談しながら進めることが重要です。

SNSで訴訟に関する内容を発信することも、守秘義務違反や名誉毀損に発展する恐れがあるため、インターネットを含む公開の場での情報発信には慎重な対応が求められます。

訴訟リスクを最小化する予防策と必須の備え

今日からできる「カルテ記載」と「スタッフ対応」

カルテは訴訟時の最重要証拠となるため、「主観」「客観」「評価」「計画」を明確に分けるSOAP形式で記録するようにしましょう。そのほか、鑑別診断の過程に加え、患者への説明内容や患者の理解度について記載することも重要です。

また、スタッフの対応も訴訟リスクに影響するため、接遇教育を徹底することがトラブルの予防につながります。

開業医の必須装備「施設賠償責任保険」

開業医の場合、スタッフのミスや医療機器の不具合、個人情報の漏洩など医師個人の診療行為以外のトラブルも訴訟リスクの対象になります。そのため、クリニック全体をカバーできる「施設賠償責任保険」への加入が必要です。

施設賠償責任保険に加入する際は、補償限度額や免責金額、サイバーリスクへの対応、弁護士費用特約の有無などを確認するようにしましょう。

まとめ

医療訴訟リスクを完全にゼロにすることは難しいものの、日々の丁寧な診療や詳細なカルテ記載、スタッフ教育などを徹底することで、リスクを最小限に抑えることは可能です。安心して医療を提供できるようにするためにも、正しい知識と適切な予防策を備え、万が一の際に自身とクリニックを守る準備を整えましょう。