首都圏の整形外科クリニック(医療法人)が、経営効率化のため、手術室や高額医療機器付きの施設を譲渡した事例です。売り手は複数のクリニックを経営する院長で、事業を集中させる目的がありました。買い手は勤務医で、手術経験を活かして独立開業を希望。首都圏で手術室付きの施設を探していました。通常、手術室付きの案件は少ないものの、売り手の条件と買い手の要望が合致し、成約に至りました。売り手は原状回復費用を抑え、譲渡対価を得られ、買い手は相場より安価に医療機器を引き継げた事例です。
一都三県の医療法人整形外科クリニックが、7000万円(営業権6000万円+純資産1000万円)で譲渡された事例です。売り手は理事長、買い手も医療法人で、法人譲渡スキームが用いられました。買い手は複数の分院を展開する大手法人で、資金力や実績が評価されました。トップ面談は4回に分けて実施。意向表明書の提出は省略され、メールで条件が伝えられました。最終的な譲渡価格は、売り手の希望退職金額を基に、交渉を経て決定されました。
都内の整形外科クリニックが、後継者不在を理由に調剤薬局グループに経営権を譲渡した事例です。経営承継支援は、豊富な買い手ニーズのデータからスムーズにマッチングできました。譲受側は、薬局を中心にクリニックや内装、人材紹介など周辺事業を運営する企業です。3社から意向表明書が出され、そのうち1社と交渉が進み、デューデリジェンスなどのプロセスも順調に進みました。院長から問い合わせを受けてから成約まで約7ヶ月と、スムーズなM&Aとなりました。
整形外科クリニックの売却に成功するためには、適切な売却価格の設定が重要です。売却価格は、総合的に判断しなければいけません。
まずは資産価値の算出です。クリニックにある医療機器の状態や在庫量を正確に評価します。リース契約がある場合は、その内容確認まで行ってください。売却に土地や建物が含まれている場合は、立地や築年数、周辺の市場動向をもとに査定します。
通院患者数や地域での評判は、営業権(のれん)の評価に大きく影響します。口コミや知名度も加味する必要があります。診療科目の専門性や従業員の引き継ぎ可能性も価格に影響します。スタッフが継続勤務できる場合、買い手にとって魅力的です。
資産価値、患者数と評判、診療科目と従業員などを基に「時価純資産+営業権」方式などで価格を算出します。
診療所廃止届と開設届を廃止・開設後10日以内に保健所へ提出します。旧開設者の診療所が正式に廃止され、新開設者による運営が認可されます。
次に、保険医療機関指定の継承が必要です。保険医療機関コードは変更されるため、保険診療が途切れないよう、地方厚生局で指定申請を計画的に行います。遡及指定を受けられる場合もありますが、必ずしも適用されるわけではないため注意が必要です。
診療用エックス線装置など特定設備がある場合は、廃止届や備付届の提出も求められます。また、新旧経営者間で事業譲渡契約や資産譲渡契約を締結し、トラブル防止のため詳細な覚書を作成することも大切です。
患者とスタッフを引き継ぐことができれば、買い手にとって魅力的です。適切な配慮を講じて流出を防ぎましょう。
売却計画は、譲渡契約締結後迅速にスタッフへ共有するのが適切です。事前に説明会を開き、診療内容や雇用条件の変更点を明確に伝えましょう。法人譲渡の場合、雇用契約はそのまま引き継がれることが多く、スタッフの同意を得る必要はありません。一方、事業譲渡では新たな雇用契約が必要で、労働条件や退職金の取り扱いに配慮が必要です。
患者には、診療継続やサービス品質維持を保証することで安心感を与えましょう。診療体制が維持されることを丁寧に説明することが大切です。患者の診療記録や治療方針が適切に引き継がれることを伝えることで、不安を軽減できます。
整形外科クリニックの売却を成功させる重要なポイントには、「適切な売却価格の設定」「法的手続きの確実な実施」「患者・スタッフへの配慮」があります。売却価格は、資産価値と収益性を基に総合的に判断することが重要です。スタッフや患者の維持状況も価格に影響し、継続雇用や診療体制の維持が買い手にとって魅力となります。そのため、スタッフへは売却計画を早期に共有し不安を軽減すること、そして患者には診療継続とサービス品質維持を保証し信頼関係を守ることが重要です。