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クリニック売却時のカルテ引き継ぎと個人情報保護法の注意点

病院やクリニックを売却・譲渡する際、カルテの引き継ぎと個人情報保護法に関する疑問が多くの方に共通してあります。特に、患者の個人情報であるカルテを新たな医師に引き継ぐことが法律に違反しないか心配する方もいるでしょう。この記事では、医院継承やクリニック売買におけるカルテの取り扱いについて解説します。

カルテの個人情報保護法との関係

まず、クリニックに保管されているカルテには患者の氏名や住所、年齢などの基本的な個人情報に加え、病歴や薬歴といったセンシティブな情報も含まれています。これらの情報は「個人情報保護法」によって厳格に保護されており、個人情報取扱事業者(病院やクリニック)は第三者にこれらのデータを提供する場合、原則として患者本人の同意を得る必要があります。

しかし、病院やクリニックを売却・譲渡する際のカルテ引き継ぎについては、個人情報保護法第27条5項2号の規定が適用されます。この条項では、「合併その他の事由による事業の承継に伴って個人データが提供される場合」については、特例として本人の同意を得ずにデータを提供することが可能です。そのため、医院継承におけるカルテの引き継ぎは法律に抵触しません。

医院継承時のカルテ引き継ぎの実際

医院継承時に数千人から数万人もの患者全員に対してカルテ引き継ぎの同意を取ることは、実際には非常に困難です。多くの場合、譲渡側の医師が高齢や体調不良であるケースが多いため、継承プロセスが効率的に進むことが求められます。個人情報保護法では、このような事業承継の際にはカルテの引き継ぎを認めています。

ただし、重要なポイントとして、引き継いだカルテの利用にあたっては、前任の院長が患者から取得した際の利用目的の範囲内で利用する必要があることを理解することが求められます。つまり、新たな後継医師がカルテを診療以外の目的で利用することは、個人情報保護法に抵触する可能性があるため注意が必要です。

注意点と個人情報取扱ガイドライン

カルテ引き継ぎ後、新たな後継医師が注意すべきことは、前院長が患者情報をどのような目的で取得し、その目的の範囲内で情報を利用しているかをしっかり確認することです。たとえば、診療以外の目的で患者の個人情報を利用することは、法的な問題を引き起こす可能性があります。

また、個人情報保護委員会では、医療・介護業界における適切な個人情報取扱いに関するガイドラインを提供しています。「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」というガイドラインも参考にすることで、個人情報の取り扱いにおけるリスクを軽減し、適切な引き継ぎが可能になります。

カルテの安全な引き継ぎとコンプライアンス遵守のために

事業承継(M&A)に伴うカルテデータの引き継ぎは、特例として患者本人の同意なしで行うことが法的に認められていますが、譲受側(買い手)における「利用目的の制限」など、厳格なルールが存在します。

引き継ぎ時のデータ取り扱いや患者への案内方法を誤ると、個人情報保護法違反といった重大なコンプライアンス・トラブルに発展する恐れがあります。譲渡契約書に個人情報の取り扱いに関する条項を正しく盛り込み、法的に安全な形で患者の大切な情報を引き継ぐためには、医療業界の法務に精通した専門機関のサポートを受けながら手続きを進めることをおすすめします。