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個人診療所の事業譲渡とは?成功のためのポイントと注意点

個人診療所の事業譲渡とは

個人診療所の定義と特徴

個人診療所とは、医師または歯科医師が開設する診療施設の一形態です。一般的に入院施設を持たないか、19人以下の入院施設を有するものを指します。

個人診療所は営利目的の活動が可能であり、収益や財産は経営者個人に帰属します。そのため、経営者は自由に収益を使用できるという特徴があります。

一方、医療法人は非営利組織として設立され、経営者個人とは別人格となるため、収益や財産は法人に帰属します。医療法人化することで複数施設の運営や分院開設が可能となり、事業承継や税制面でのメリットも得られますが、運営管理が複雑になる点がデメリットです。

個人診療所の運営形態では、経営者が直接管理し、必要な届出のみで開設可能です。ただし、譲渡時には資産のみが引き継がれ、負債や従業員契約などは再取得が必要となります。

事業譲渡の概要

個人診療所の事業譲渡とは、診療所が保有する資産や権利義務の一部または全部を、譲受側に移転するスキームです。個人診療所の場合、法人格がないため、譲渡時には一度診療所を廃止し、譲受側が新規開設手続きを行う必要があります。

譲渡対象には、医療機器や薬品、建物や土地の所有権・貸借権、商標などの知的財産権、さらにはスタッフの雇用契約や取引契約などが含まれます。負債や従業員契約は包括的に承継されず、新たに契約を結ばなければいけません。

価格は営業権(のれん代)と純資産額で算定されますが、資産と経営者個人の財産が混在している場合が多く、正確な評価が困難な場合があります。また、診療所の施設や設備が現行法規に適合しない場合には改修が必要です。

個人診療所の事業譲渡の流れ

譲渡先の選定

個人診療所を事業譲渡するときは、最初に譲渡先を選定します。譲渡先の候補は、主に親族と第三者です。

親族への譲渡では、診療所の理念や地域との関係性を維持しやすい点が大きなメリットです。現院長が後継者と共に経営方針を共有しやすく、患者やスタッフへの影響も最小限に抑えられます。また、相続税対策として財産の生前贈与や評価引き下げを行うことも可能です。一方で、他の相続人との遺産分割問題が発生する可能性があり、遺言書の作成など法的手続きが必要になる場合があります。また、後継者が医師資格を持たない場合は承継が不可能です。

第三者への譲渡は、後継者がいない場合の有力な選択肢です。特に法人への譲渡は、法人に資金力があるため、高額な譲渡価格が期待できる場合があります。また、譲渡後の経営方針や診療内容を柔軟に調整できる可能性が高いです。しかし、第三者譲渡では新たな経営方針が地域やスタッフに受け入れられないリスクがあります。候補先との理念の不一致やトラブルを防ぐために、面談や事前調査を慎重に行うことが重要です。

譲渡手続きの流れ

事業譲渡契約の締結

譲渡価格を「営業権(のれん代)」と「純資産額」を基に算定し、譲渡契約を締結します。契約書には譲渡対象(医療機器、建物、取引契約など)や条件を明記してください。事業譲渡契約の締結に必要な書類は、譲渡契約書と資産評価資料です。

現診療所の廃止手続き

譲渡側が現診療所の廃止手続きを行います。保健所に「診療所廃止届」を提出してください。エックス線装置がある場合は、「診療用エックス線装置廃止届」も必要です。厚生局には、「保険医療機関廃止届」を提出します。必要書類は、医師免許証と建物平面図、廃止届です。

新診療所の開設手続き

譲受側が新診療所の開設手続きを行います。保健所に「診療所開設届」を提出してください。エックス線装置がある場合は「診療用エックス線装置備付届」も提出が必要です。厚生局には「保険医療機関指定申請書」を提出し、保険診療を継続できるよう手配します。医師免許証、経歴書、建物平面図、遮へい計算書(エックス線装置の場合)が必要です。

税務署への届出

税務署へも届出が必要です。譲渡側は「個人事業の廃業届」を提出し、譲受側は「個人事業の開業届」を提出します。青色申告を希望する場合は、「青色申告承認申請」も行ってください。廃業届と開業届、青色申告承認申請書が必要です。

契約や雇用関係の再構築

従業員との雇用契約やリース契約を新たに締結します。建物や土地が賃貸の場合は、賃貸借契約も更新が必要です。必要書類は、雇用契約書とリース契約書、賃貸借契約書です。

事業譲渡の際の注意点

税金対策

事業譲渡に伴う税金には、主に譲渡所得税と消費税が含まれます。それぞれの税金の特徴を理解した上で、適切な税金対策を行いましょう。税金対策は、譲渡後の資金計画や経営安定性につながります。

譲渡所得税

個人診療所の事業譲渡では、譲渡益(譲渡価格-帳簿価格-譲渡費用)に対して所得税が課されます。税率は一律20%程度です。累進課税が適用される場合もあります。譲渡益を抑えるためには、帳簿価格の適正化や取得費用の加算が有効です。また、事業承継税制などの事業承継に伴う特例制度を活用することで、課税負担を軽減できる場合があります。

消費税

事業譲渡は「資産の譲渡」に該当し、建物、医療機器、営業権など土地以外の資産には消費税が課されます。たとえば、営業権(のれん)は課税対象であり、税率は10%です。土地などの非課税資産の割合を増やすことで、消費税の負担を抑えられます。

法的手続きと許認可の再取得

譲渡側

譲渡側は、診療所を廃止するために保健所へ「診療所廃止届」を提出します。廃止後10日以内が提出期限です。エックス線装置を使用していた場合には「診療用エックス線装置廃止届」も提出してください。地方厚生局には「保険医療機関廃止届」を提出し、公的医療保険の指定を解除します。

譲受側

譲受側は、新たに診療所を開設する手続きが必要です。保健所へ「診療所開設届」を開設日から10日以内に提出します。エックス線装置を使用する場合は「診療用エックス線装置備付届」も併せて届け出てください。

さらに、新規に公的医療保険を利用できるよう、地方厚生局へ「保険医療機関指定申請」を行います。開設月の指定された期日までに行わなければいけない点に注意が必要です。遡及指定を希望する場合は、前開設者の廃止日翌日付で申請できます。

まとめ

個人診療所の事業譲渡は、診療所が保有する資産や権利を譲受側に移転する手続きです。譲渡側は「診療所廃止届」や「保険医療機関廃止届」を提出し、譲受側は「診療所開設届」や「保険医療機関指定申請」を行います。譲渡対象には医療機器や営業権が含まれますが、負債や雇用契約は引き継がれません。税金対策としては、譲渡所得税や消費税の負担軽減があります。早期の準備と後継者選定、資産評価や税金対策を慎重に行い、許認可手続きを確実に進めることが個人診療所の事業譲渡成功のポイントです。

           
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