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デイサービス業界の売却事例・M&A傾向

デイサービス業界におけるM&Aの現状と背景

デイサービス業界の現状と市場規模

厚生労働省老健局が公表した「介護保険給付に係る総費用等における提供サービスの内訳(令和3年度)金額」(※)によると、いわゆるデイサービスに該当するサービスのうち、通所介護が約1兆2799億円、地域密着型通所介護が約4105億円、認知症対応型通所介護が約796億円となります。

これらを合計すると、デイサービスへの介護保険給付金額は1兆7700万円。他の介護サービスも含めた介護保険給付金額の合計は10兆7494億円なので、デイサービスは全体の約16.5%を占めている形となります。

今後、高齢化はますます続く見通しであることから、デイサービスの市場規模も相応に拡大していくものと考えられるものの、人手不足や後継者不在問題などを背景に、デイサービスM&Aの重要性は高まると予想されます。

※参照:厚生労働省 老健局|介護分野の最近の動向について
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001099975.pdf

少子高齢化が進む中でのデイサービス事業の課題

介護業界の慢性的な人手不足はよく知られているところですが、中でもデイサービスの人手不足は深刻です。人手不足の理由は、主に他業種に比べて労働条件が良くないことにあります。1年未満での離職率が他業種より高いことからも、その労働条件の悪さは分かるでしょう。

また、デイサービスに限りませんが、介護事業のサービス料金が介護報酬により固定されているため、昨今の物価高を利用料金に転嫁できないことも課題の1つ。デイサービスの運営には、食事をはじめ様々な資材の購入が必要ですが、物価高の中でサービス料金が固定されれば、利益を圧迫することは自明の理。経営が圧迫された結果、事業売却を余儀なくされる事業者も少なくありません。

デイサービス事業のM&Aが増加する背景

政府は3年ごとに介護報酬の改定を行っていますが、必ずしも改定内容は事業者に有利なものとなるわけではありません。いわゆるマイナス改定となれば事業者の収益構造が変化し、以後の施設運営に大きな支障をきたす恐れがあります。

また、現場の人手不足が深刻化している中、政府は地域包括ケアシステムの推進等、結果として現場の負荷が増える政策を掲げています。小規模なデイサービス事業者の中には、政策への対応に苦心しているところも多く見られます。

これらの問題に加えて、近年は介護事業における後継者不足の問題も浮上。複合的な課題を抱える事業者も増えてきたことから、昨今、デイサービス事業のM&Aが増加しています。

デイサービスM&Aの基本プロセスと注意点

デイサービスM&Aの基本的な流れ

1. 専門家に相談する

M&Aには複雑な準備や交渉、手続きなどを要するため、基本的にM&Aの専門家(M&A仲介会社など)へ相談することからスタートします。

各M&A仲介会社には専門分野があることから、デイサービスのM&Aを検討するならば、介護保険制度や施設運営の規制等に詳しいM&A仲介会社に相談しましょう。

2. デューデリジェンスを行う

売却側と買収側が大筋でM&Aに合意したのち、買収側は売却側に対してデューデリジェンスを行います。

デューデリジェンスとは、売却側の財務や法務、人事などの状況を詳細に調査すること。買収側におけるリスク管理の一環となります。

3. 契約交渉を行う

デューデリジェンスの結果を踏まえて最終交渉を行い、双方が合意のもとでM&Aの最終契約を締結します。

最終契約には法的拘束力が生まれるため、売却側と買収側、ともに契約内容を誠実に実行しなければなりません。

4. 事業統合する

資本や現場など、契約内容に基づいた事業統合を実行します。

デューデリジェンスの重要性

M&Aのプロセスにおいて、とりわけ買収側が重視する項目がデューデリジェンス。売却側の財務、法務、経営、人事などの様々な状況について、専門家を派遣して行う内情調査がデューデリジェンスです。

売却側の事業がデイサービスである以上、介護報酬制度の運用や施設の稼働率、介護職員の雇用契約状況、既存設備の状態なども詳細に調査されるため、あらかじめ売却側はデューデリジェンスに向けた綿密な準備をしておく必要があります。

契約交渉時に押さえるべきポイント

M&Aの契約交渉時には、売却側は「少しでも高く売りたい」と考え、買収側は「少しでも安く買いたい」と考えます。双方の思いが相対していることから、M&A価格の調整交渉は容易ではありません。

価格決定の材料となる主な要素は、地域の競争環境を前提とした将来的なキャッシュフローの見通し、施設運営コストの適正性、人材確保の方法と実績、現時点での財務状況など。売却側としては、これらの要素を少しでも改善させてから交渉に臨むことが、少しでも有利に交渉を進めるためのポイントになります。状況を改善させるためには時間がかかるため、事業売却の可能性が浮上した段階で早急に対策を実行することが大切です。

デイサービス事業の売却メリットと成功するためのコツ

デイサービス事業を売却するメリットとは?

デイサービス事業を売却する主なメリットの1つが、経営リスクの軽減です。人手不足や資金調達など、現在抱えている各種の経営リスクは事業の売却により軽減、または解消します。

もう1つのメリットが、売却に向けて事業価値を高めておくことで、高い価格で事業を売却できること。引退を考えていた事業主にとっては、実質的な退職金にもなるでしょう。

また、第三者へ売却することで、経営者不在問題が解消することも大きなメリットでしょう。デイサービスは地域社会の重要なインフラという側面もあることから、後継者不在を理由に廃業へ至っては、地域への影響が少なくありません。売却による事業存続は、地域社会への貢献にもつながります。

高値で売却するためのタイミングと準備

デイサービス事業を高値で売却するためには、常にデイサービスM&A市場の動向をチェックし続けることが大切です。M&A仲介会社が公表する成功事例や案件一覧など、様々な情報源を基にデイサービスのM&A市場の変化を追い、売却価格の大きなトレンドを把握しておくようにしましょう。

あわせて、3年に一度の介護報酬の改定にも注目。デイサービス事業に有利な内容の改定となれば、その分だけ売却価格に加味される可能性があるからです。

また、普段から介護職員のスキル向上をサポートし、全体的に人材の質が高まったタイミングで売却することも有効です。

成功事例に学ぶ、売却時のポイント

デイサービス事業売却の成功事例は多々あり、それぞれの事業所のオーナーの意向により、何をもって成功と考えるかは異なります。あるオーナーは早期売却を成功とし、別のオーナーは高額売却を成功とするでしょう。

ただし、どのような意向の売却であれ、地域に根付いた施設運営を行っていること、人材確保の懸念がないことは、成功しているM&Aに共通して見られる傾向です。いずれの傾向も、利用者と従業員のため真摯にデイサービス業を営んでいることが根底にあると考えて良いでしょう。

また、売却を決断してからすぐにM&A仲介会社へ相談を持ちかけている点も、成功した売却事例に共通するポイントです。少しでも成功の確度を上げるためには、M&A仲介会社にも時間的余裕を与えることが大切です。

デイサービス事業の買収メリットとリスク管理

デイサービス事業を買収するメリット

デイサービス事業を買収する大きなメリットの1つが、買収直後から既存施設や利用者基盤を活用できる点です。ゼロからデイサービス事業を立ち上げることに比べ、大幅に労力やコスト、時間を削減でき、かつ起業に伴うリスクを低減させることができます。

また、買収により事業を拡大することで、包括的ケアシステムへの対応力が強化される点も買収のメリットとなるでしょう。包括的ケアシステムに対応するためには、自社のリソース拡大が重要な要素になるからです。

さらに、事業所の複数展開によりグループのブランド価値が上がることもメリットの1つ。ブランド価値の向上は、集客だけではなく雇用にも大きな影響を与えます。

デイサービス事業買収に伴うリスクとは?

デイサービス事業の買収に伴う主なリスクの1つが、買収後の職員の離職です。買収側の企業文化や意向を押し付ける形になると、売却側の従業員は仕事へのモチベーションが低下し、やがて離職につながりかねません。M&A成立後は、売却側の従業員の気持ちにも十分に配慮し、焦らず円満な経営統合を目指す姿勢が大切です。

また、それまで売却企業側が構築してきた地域コミュニティとの関係をおろそかにすると、地域での評判が低下して経営に影響しかねません。地域コミュニティとの関わり方も売却側からしっかりと引継ぎ、誠実に実践し続ける必要があるでしょう。

買収後の統合プロセスを円滑に進める方法

買収成立後の経営統合プロセスのことをPMIと言いますが、介護業界に関わらず全ての業界におけるM&Aにおいて、PMIは買収を成功させる重要な要素の1つとされています。

とりわけ、デイサービスなどのような「人と人との関わり」のみで成り立つ事業においては、従業員のモチベーションを維持・向上させることが経営統合の重要課題。買収される前の文化や考え方、価値観などをしっかりと前オーナーから引継ぎ、買収後も安心して働き続けられる職場であることを従業員へ示しましょう。

買収側のオーナーと買収された側の従業員たちが定期的に会い、コミュニケーションを重ねることで徐々に信頼関係を構築していく姿勢も大切です。

デイサービスM&Aの成功事例

後継者問題をきっかけにデイサービス事業を売却

デイサービス事業を運営していたA社。オーナーには後継者として予定していたご子息がいたものの、ご子息自身、後継者となることの決断ができない状況でした。

そのような中、奥様が病気で他界したことをきっかけに、オーナーは従業員と利用者を守るため事業の売却を決断。専門機関に相談し、売却先の候補を提示してもらいました。

オーナーは複数の売却先候補と面談を実施。面談を行ったある事業者のトップの理念や考え方に共感し、事業譲渡することとしました。

利用者にも従業員にも迷惑をかけることなく事業継続にいたったことに、オーナーは安心した様子でした。

※参照:経営承継支援(https://jms-support.jp/column/2020%E5%B9%B4%E9%80%9A%E6%89%80%E4%BB%8B%E8%AD%B7%EF%BC%88%E3%83%87%E3%82%A4%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9%EF%BC%89%E6%A5%AD%E7%95%8C%E3%81%AE%E6%9C%80%E6%96%B0ma%E5%8B%95%E5%90%91/)

スピード感を重視したデイサービス事業の売却

年商規模5000万円の1日型デイサービス事業を営んでいたB社。事業所の閉鎖が決定したものの、従業員と利用者の現状を維持するための方策を検討し、M&Aによる売却も選択肢としました。

その後、代表はM&A仲介会社へ相談し、スピード重視での売却を要望。募集活動を初めてすぐに応募してきた企業と面談し、要望通り迅速な売却が成立しました。

M&A後の従業員説明会には、B社代表はもちろんのこと、買収後も不安なく働ける環境であることを伝えるため、買収側の代表も出席。当初は10分の予定だった説明を60分まで延長し、誠意を持って従業員への説明を行ったとのことです。

※参照:介護M&A支援センター(https://kaigo-ma.com/example/pickup?id=5)

自分が倒れたときの利用者や従業員への影響を考えて事業売却

2006年11月に創業したデイサービス事業者のC社。代表の真摯な人柄もあり、利用者からも従業員からも慕われるデイサービスとして順調に成長していきました。

一方で代表自身は月曜日から土曜日までを働き続け、利用者の送迎も担当する満身創痍の状態。万が一、自分が倒れたときの利用者や従業員への影響を考え、事業の売却を決断しました。

M&A仲介会社に相談し、約1か月で2社のトップと面談。代表の若さや覇気に惹かれたことを理由に、最終的にはD社への売却を決めました。

売却後、D社はC社の元代表をデイサービスのドライバーとして雇用。引き続き介護サービスに関われることに喜びを感じているようです。

株式譲渡後も従業員として事業に従事

高齢による心身の疲労から、利用者と従業員のためにデイサービスの経営からリタイアを決意。複数のM&A仲介会社に相談する中で、介護事業への深い知識と迅速な対応に魅力を感じた会社に売却を依頼しました。

建築基準法の問題から株式譲渡を決断。譲渡後、譲渡先の社長が丁寧な説明を重ね、地域に愛されるデイサービスを安定的に運営しています。

元経営者はドライバーとして雇用され、事業に関わり続けています。介護事業への理解度が高い仲介会社を選んだことが成功につながりました。

※参照:介護M&A支援センター(https://kaigo-ma.com/example/voice/?id=1)

ポジティブな面を従業員に説明

コロナ禍での人材不足を機にM&Aを決断。会社をより強くし、従業員に安心して働いてもらうため、理念が合致した企業とのM&Aを選択しました。決め手は、コロナ禍で職員が感染した際に本社からの手厚いサポートがあったことでした。

事業譲渡から法人譲渡への切り替えや行政手続きなど課題もありましたが、スムーズに進めることができました。従業員にはM&Aのポジティブな面を伝え、理解を得ました。

元経営者は、今後、認知症ケアの専門家や防災士として地域に貢献していく意向です。

※参照:介護M&A支援センター(https://kaigo-ma.com/example/voice/?id=8)

日本の介護難民問題に対応するためM&Aを実行

障害福祉分野で基盤を築いてきたことから、日本の超高齢化に伴い高齢者介護の需要が増加する一方、事業者減少により「介護難民」問題が懸念されている課題に対応する方法を検討しました。新規事業立ち上げでは時間と労力が必要なため、M&Aを通じて人材不足やノウハウの課題を補完し合い、事業継続を図ることを選択しました。

今回M&Aに成功した企業では長期勤務者が多かったことから、従業員の不安解消に向けて透明な説明を重視し、相互理解を深めました。

※参照:介護M&A支援センター(https://kaigo-ma.com/example/voice?id=9)

デイサービスM&Aを成功させるための重要なポイント

M&A専門家の活用

デイサービス事業のM&Aを成功させるための第一歩は、デイサービス事業に詳しいM&Aの専門家への相談です。

M&Aを進めていく前段階では、煩雑な資料作成や専門的な譲渡スキームの策定など、膨大な準備が必要となります。また、売却活動を始めた後も、売却先によるデューデリジェンスへの対応を中心に、財務や法務等の専門的な業務がたくさんあります。M&A契約に際しては、介護業界特有の規制や法的手続きを踏まえながら内容を検討しなければなりません。

デイサービスの本業で多忙な中、これら業務をオーナー1人で行うことは非現実的。専門家のサポートを受けながら、無駄のないプロセスを踏んでいきましょう。

経営理念や企業文化の調整

いかなる事業所であれ、その事業所特有の企業文化があります。企業文化は目に見えないものながらも、従業員の働き方や意思決定、モチベーションなどに大きな影響を与える要素。売却後は買収側の企業文化と自然に融合できるよう、時間をかけて準備しておく必要があります。

もとより企業文化には、利用者の方々とのコミュニケーションから醸成される側面もあります。そうである以上、地域文化的な特性を考慮しない運営がなされれば、利用者は居心地の悪さを感じて離れていく可能性もあります。

デイサービス事業の売却に際しては、それまで事業所と地域の方々が育ててきた固有の企業文化を尊重するよう、買収側にしっかりと伝えることが大切です。

リスク管理と予防策

買収側にとって、買収後のリスク管理は非常に重要なテーマの1つとなります。コストは安くないものの、まずは専門家に依頼して十分なデューデリジェンスを実行しましょう

デューデリジェンスは買収相手の企業内部を調査する作業なので、並行して買収相手の企業文化も調査しておくことが大事です。経営統合後のPMIにおいて、デューデリジェンスで得た企業文化の情報は大いに役立ちます。

また、新たに自社グループの仲間に加わった従業員たちに対しては、決して高圧的な態度をとらず、コミュニケーションを密に取りながら信頼関係の構築に努めることが大事。早期の信頼関係構築こそが、サービスの品質維持や従業員の離職回避などに向けた有効な対策になると理解しましょう。

まとめと今後のデイサービスM&Aの展望

デイサービス業界におけるM&Aの将来性

日本の人口構造を見れば、今後ますます高齢化が進むことは、ほぼ確定しています。必然的にデイサービスの需要も増加すると考えられますが、少子化による人手不足や後継者不在問題を背景に、デイサービスのM&Aは加速していくでしょう。

加えて、国は地域包括ケアシステムの拡充を目指しています。大変理想的な理念ながらも、リソースの乏しい中小のデイサービス事業者は、生き残りの手段として、大手資本への事業売却を検討せざるを得ないかもしれません。

今後、デイサービスM&Aは今後ますます増加する様相です。

デイサービスM&Aを検討する際に意識すべきこと

デイサービスM&Aを検討する際には、介護報酬制度の影響を考えましょう。3年に1度の頻度で行われる介護報酬制度の見直しですが、要介護・要支援者が増加中であるにも関わらず、実質的にデイサービス事業者の負担は上がり続けています。今後も同じ傾向が続くのかどうか、意識して推移を見守る必要があるでしょう。

また、特に買収側においては、介護職の新規雇用や離職防止などの人材戦略を継続的に検討し続けることも重要です。従業員にとって魅力的でやりがいのある職場を作ることこそ、最も有効な人材戦略となるでしょう。

           
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