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医療M&Aにおける退職金の考え方と注意点

医療M&Aで院長とスタッフの退職金がどう扱われるのかを、制度・税務・雇用の観点から整理しました。支給時期や勤続扱いなど、判断に必要な基礎知識をまとめています。

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M&Aで院長・理事長に
支給される
退職金の考え方

退職金が発生するタイミング

医療M&Aでは、理事長や開設者の退任時に退職金を支給するのが一般的です。譲渡対価の一部を退職金とすることで、税制メリットを活用できます。

注意点は、承継後も「顧問」や「名誉職」として残る場合です。実質的に経営に関与し続けているとみなされると、税務上「退職」とは認められないケースがあります。思わぬ課税リスクを防ぐため、M&A後の関与度合いや契約内容は慎重な調整が必要です。

退職金の算定と
税務上の取り扱い

役員退職金は、法人の規程に基づき「最終報酬月額×勤続年数×功績倍率」で算出するのが一般的です。

退職金での受け取りは税制優遇が手厚く、出資持分譲渡として受け取るよりも税負担を軽くできる点がメリット。ただし、相場より高く設定しすぎると「不相当に高額」とみなされ、法人の経費(損金)と認められないリスクがあります。適正な根拠に基づく算出が必須です。

退職金支給をめぐる注意点

役員退職慰労金を受け取るのは譲渡側の院長・理事長ですが、支払いは医療法人(対象病院)の義務です。譲渡側が「譲渡価格に含まれる」と勘違いし、現預金がないと契約直前でトラブルになるケースが多発しています。

確実に受け取るには、誰が、いつ、いくら支払うかを明確にし、理事会承認など法的な手続きの徹底が必要です。

スタッフ・従業員の退職金や
雇用条件について

譲渡スキームによって
違いがある

スタッフの雇用契約の扱いは、M&Aの手法(スキーム)によって異なります。「出資持分譲渡」や「合併」のように法人格が存続するスキームでは、雇用契約もそのまま引き継がれ、退職金制度も継続されるのが一般的です。

一方で、個人クリニックの承継などで採用される「事業譲渡」では、法人が変わるため、スタッフは一度雇用契約を終了(退職)し、譲受先と再契約する形をとります。この場合、形式上は旧法人で退職金の清算が必要となるなど、手続きが煩雑化します。

退職金の清算・通算方法

スタッフの定着には、退職金計算の勤続年数をどう扱うかが極めて重要です。一般的に、将来の支払いを買い手側に負担させる「通算(承継)」と、旧法人がM&A時点で清算する「清算(支給)」の2つの方法があります。

通算は売り手の直近のキャッシュアウトを防げ、スタッフの安心にもつながるため、円滑な承継に向け買い手と慎重な協議が必要です。

スタッフへの説明と
労務トラブル防止がポイント

スタッフにとってM&Aは「自分の退職金や給与が減るのではないか」という大きな不安要素です。処遇に関する説明が不十分だと、不信感から集団離職を招き、M&A自体が破談になるリスクすらあります。

「雇用は守られるのか」「退職金は通算されるのか」といった条件面を、買い手側としっかりすり合わせた上で、誠意を持ってスタッフへ説明を行うことが、円満な承継の絶対条件です。

退職金をめぐるトラブル防止策

退職金規程・定款・議事録を
整備する

退職金支給には客観的な根拠が必須です。税務否認リスク回避のため、まず「役員退職金規程」などを整備し算定根拠を明確化。次に、総会・理事会の決議を経て議事録を残すなど法的手続きを徹底します。

特にM&A直前の規程作成は租税回避とみなされるリスクがあるため、早い段階から規程を見直すことが重要です。

税理士・社労士・M&A専門家と連携する

退職金問題は、税務・労務・法務・財務が複雑に絡み合い、顧問税理士だけでは判断が難しい領域です。院長の手取り最大化やスタッフの雇用継続には、医療M&A専門アドバイザーの協力が極めて重要となります。

退職金・雇用・許認可といった専門的な課題に対応し、理念を大切にした承継を実現するためには、医療M&Aに精通した仲介会社の支援が不可欠です。

当メディアでは、外来中心の「小規模クリニック」、地域中核となる「中規模病院」、多施設・広域展開する「大規模グループ」の規模別に課題解決に強いM&A仲介会社を紹介しています。後悔のない承継のために、ぜひご活用ください。