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クリニック・病院の経営難・赤字問題を解説

医業収益の伸び悩みとコストの急増により、多くの病院が経営危機に直面し「このまま診療を続けられるのか」という不安を抱えています。本記事では、現状をデータで把握し、改善策と次の一歩を考えるための視点をまとめました。

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全国で病院経営が
厳しくなっている現状

日本病院会等6団体の調査によると、2024年度に経常赤字となった病院の割合は61.2%※1です。特に自治体病院では、86%が経常赤字※1、95%が医業赤字※1という異常事態に陥っています。

深刻なのは、収益の増加を上回るペースで費用が増え続けている点です。多くの病院が、現場の自助努力だけでは解消できない「構造的な赤字」に直面しています。

病院が経営難となる主な要因

診療報酬改定による収益減

2024年度は賃上げ対応などでプラス改定となりましたが、長らく続いた医療費抑制政策の影響を払拭するには至っていません。一般社団法人日本病院会が公開しているデータによると、改定後の2024年6~11月を2023年の同時期と比較した際、医業収益は1.9%増加※2したものの、医業費用はそれを上回る2.6%増加※2という結果でした。

増収分がコスト増に相殺されており、高度急性期以外の病院では、医療行為を増やしても利益率が上がりにくい構造的な厳しさに直面しています。

※2参照元:一般社団法人日本病院会【PDF】9p「医業損益への影響 前年同月比較(2023/2024年_6月~11月合計)_100床あたりの平均値と病床利用率 全病院」(https://www.hospital.or.jp/site/file/(20250310公表最終版)2024年度診療報酬改定後の病院経営状況 調査結果.pdf)

医師・看護師不足による
人件費上昇

医療人材の不足と賃上げの波は、病院経営を直接的に圧迫しています。診療報酬改定後の2024年6~11月を2023年の同時期と比較すると、給与費は2.8%増加※3しており、利益を大きく損なう要因です。

ベースアップ評価料などの手当てはあるものの、採用競争力の維持や既存スタッフの離職防止のためには、公定価格以上の人件費負担を余儀なくされるケースが増えています。

※3参照元:一般社団法人日本病院会【PDF】10p「医業損益への影響 前年同月比較(2023/2024年_6月~11月合計)_100床あたりの平均値 全病院」(https://www.hospital.or.jp/site/file/(20250310公表最終版)2024年度診療報酬改定後の病院経営状況 調査結果.pdf)

物価・光熱費の上昇

年々進行するインフレは、医療機関の経営にも深刻な影を落としています。診療報酬改定後の2024年6~11月を2023年の同時期と比較した際、水道光熱費は8.2%増※4、材料費は2.0%増※4となりました 。

電気・ガス代に加え、医薬品や消耗品などの調達コストも上がっていますが、一般企業とは異なり、医療機関はこれらをサービス価格(診療報酬)に転嫁することができません。原価の上昇に価格調整で対応できず、コスト増がそのまま赤字として積み上がる構造にあります。

※4参照元:一般社団法人日本病院会【PDF】10p「医業損益への影響 前年同月比較(2023/2024年_6月~11月合計)_100床あたりの平均値 全病院」(https://www.hospital.or.jp/site/file/(20250310公表最終版)2024年度診療報酬改定後の病院経営状況 調査結果.pdf)

老朽化した建物や
設備投資の負担

建築資材の高騰により、設備の維持・更新コストも上昇しています。2024年6~11月を2023年の同時期と比較した際、設備関係費は1.8%増加※5しました。特に赤字病院においては資金繰りの悪化から必要な設備投資を行えず、老朽化への対応が遅れることでさらに患者が離れる悪循環に陥るリスクが高まっています。

※5参照元:一般社団法人日本病院会【PDF】10p「医業損益への影響 前年同月比較(2023/2024年_6月~11月合計)_100床あたりの平均値 全病院」(https://www.hospital.or.jp/site/file/(20250310公表最終版)2024年度診療報酬改定後の病院経営状況 調査結果.pdf)

【調査概要】
調査団体:日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会、日本慢性期医療協会、全国自治体病院協議会
調査対象施設:5,901施設(6団体会員施設)
回答施設:1,816施設
回答率:30.8%
有効回答:1,731施設
調査期間:2025年1月23日~2月12日

赤字から抜け出すための改善策

財務・経営データを
「見える化」する

まずは収益構造やコストを「科目別」「診療科別」に細分化して可視化し、赤字の発生要因を具体的に特定しましょう。

黒字病院と赤字病院の差は、収益力以上に費用のコントロール力に表れる傾向があります。全体の数字だけでなく、詳細な内訳を精査して経営改善のボトルネックを明確化。感覚ではなく、正確な数値に基づいた具体的な対策を立案できる体制を整えることが重要です。

地域のニーズに合わせた
診療体制を築く

地域の患者層や疾患傾向を分析し、需要に合わせて診療科やサービスの再構成を検討しましょう。例えば、急性期偏重から回復期・慢性期への転換や、在宅医療・訪問診療への参入など、地域包括ケアシステムの中で求められる役割へシフトすることが有効です。

自院の機能が地域ニーズと合致しているかを見直し、需要の高い分野へ経営資源を集中させることで、診療単価の確保や病床稼働率の向上を目指します。

コスト変動へ対応できる
経営体制を構築

損益分岐点を下げるため、医薬品・診療材料の共同購買や、清掃・事務等のアウトソーシング適正化によって固定費を見直しましょう。こうした外部連携は「固定費の変動費化」や「コスト構造の最適化」にも直結する有効な手段です。外部環境の変化や収益変動に柔軟に対応できる筋肉質な経営体制を構築し、利益確保の土台を固めていく必要があります。

再建が難しい場合に検討すべき「承継・再編」

経営努力を尽くしたものの自力再建が困難な場合、次の選択肢として「M&A・事業承継」が挙げられます。M&Aや事業承継は決して単なる「撤退」ではありません。資金力や採用力を補完することで、病院の存続と雇用、地域医療を守るための有効な手段となり得ます。

M&Aの成功には、適切なパートナー選びが不可欠です。小規模な個人クリニックであれば個人の資産整理、地域医療を支える中規模病院であれば人材確保や設備投資、多施設・広域展開する大規模グループであれば組織再編やガバナンス統合など、規模によって直面する課題は異なります。

自院の規模や特性に合った強みを持つM&A仲介会社を見極めることが重要です。